神乃木さん出てきます。やっぱり女性です。
近年温暖化だのヒートアイランド現象などで、日本も南国さながらのスコールがよく降るようになった、と知っているとは言え。急な夕立に遭うとなんだか理不尽な災厄み見舞われたような気がして気が滅入る。
ビルに入る前は晴天だった筈なのに、出てみれば霞がかかるくらいの大雨って、どういう事なんだろうか。
(傘なんて持ってきてないよ〜)
地下鉄の入り口まで、10メートルくらいだったと思うが、近いはずの距離が今は遠い。それだけ歩けば、間違いなく池に落っこちたみたいにずぶ濡れだろう。
(でも、走れば何とか……)
時間にして、数秒の事だ。多分、大丈夫。道筋を脳裏に思い浮かべ、何度もシミュレートする。
(……よし!)
少々濡れるのは覚悟の上だ。人知れず気合を入れ、足に力を込める。自分同様、雨の中を走り抜ける人にぶつからないよう、タイミングを計る。
今だ!と誰も居なくなったのを見計らって、走り出す。一歩出ただけでも、容赦なく雨が自分に降り注いだ。人にぶつかる事も無く、順調に進んでいく――かに見えたが。
ぐき。
「ぁわわああぁぁぁぁッ!!?」
足元のレンガにでも踵が引っ掛かったのか、足がガクンと崩れる。すかさず近くの街灯にしがみつく事に成功したので、そのまま無惨にずっこける事はなかったが、全身ずぶ濡れになるのは免れなかった。
「………………」
街灯をしっかり掴んだまま、雨水がスーツからシャツに染みて、肌まで届いたのなったのをじわじわと感じる。
だからハイヒールなんて嫌いなんだよ!濡れながら激昂した。不幸中の幸いというか、踵が折れる事は無かったが。
早く動かないと、と心は命じているのに身体が動かない。かなり、自分は凹んだようだ。
(…………。いいんだ、もう。どうでも………)
このままでは風邪を引くというのに、それでも動くのが億劫だ。
どれくらいしていたのか。1,2分くらいだっただろうけど。
「…………?」
不意に雨が自分に降り注がなくなった。止んだ訳ではない。怒涛のように雨音が自分の鼓膜を突いているのだから。
誰かが傘を差している、と気づいたのは声をかけられてからの事だ。
「冷えた身体には熱いコーヒー、だぜ。それとも、やっぱりコネコちゃんにはミルクがいいか?」
「……コーヒーがいいです」
自分の後ろには後ろには神乃木が居た。
「へぇー、離婚協議でねぇ……」
「はい。こっちには浮気の事実が無いのに、向こうが言い張っちゃって」
「で。アンタが逐一向こうの言い分を潰してるって訳かい?」
「ええ、相手の奥さん、なんか妄想癖が強いみたいで。向こうの弁護士さんもちょっと困ってましたよ」
「それにしても、休日まで仕事なんてご苦労な事だぜ」
「でも、今日はこれでもうオフです」
「クッ……目の前の休日に気を取られて、判断失ったかい?コネコちゃん」
「う…………」
あの場所から神乃木の自宅まで、歩いて10分程だった。ここには一度来た事があり、だからなんか場所に見覚えがあったんだな、と納得した。土地勘が無ければ以前辿ったルート以外を見せられても、ちっとも気づかない。
「タオルで拭いても追いつかねぇだろ。シャワー浴びちまいな」
「す、すいません………」
「ああ、服は洗濯機に放り込んでくれ。乾燥機もくっついてるから、そのまま洗う」
「ほ、本当にすいません」
ペコペコ頭を下げると、クッと喉の奥を鳴らした。
「早くシャワーを浴びるんだな。礼はその後でも出来るだろ?」
「あ、はい!それじゃ、失礼します!」
なるべくフローリングの綺麗な床を濡らさないよう、つま先で移動する。
(あ〜……気持ちいい……)
熱いシャワーを浴びると、体温を奪われた冷たさと濡れた布を纏っていた不快感が流されるようだった。熱さに酔いしれていると、ガチャリ、と浴室のドアが開く音がする。
『ゆっくり浴びるんだぜ、まるほどう』
「はーい」
『着替え此処に追いとくからな』
「はいー!すいませんー!」
シャワーの音に負けないよう、返事した。
神乃木が入って来たのは、洗濯機を動かすためのようだ。一つの傘に身を寄せ合って、くっつかないように気をつけていたのだが、やっぱり相手のシャツを濡らしてしまったみたいだ。いよいよ申し訳ない。
『アンタのスーツ、そのまま放り込んじまっても平気か?』
「はい、平気です」
元より面倒な手入れがするものを、自分が買うわけが無いのだ。
そうかい、と短めな返事をし、洗うべく自分のシャツを脱ぐ。ちょうと返事をする為に成歩堂が振り返った時だった。
(……わ、)
波打ったガラス越しとは言え、それでもシャツを脱いで下着だけになった彼女のプロポーションの凄まじさが窺えた。出る所は出て、引っ込む所は引っ込む。そして出ている所の量が半端ではない。それでいて、均衡が取れている身体なので、見事としか讃えようがない。同性の自分から見ても。
なんだか覗きでもしているような疚しい気分になって、慌てて身体の向きを変える。
(って言うか、なんで身近にあんなモデルみたいな人ばっかり集まるんだろう……)
神乃木もだが、御剣も十分胸にボリュームのある綺麗な体形をしているのだろう。裸を見た訳じゃないけど、スーツの上からでも解るくらいなのだから。小さくは無いと思う自分のCカップの胸が、小さく思える。
(別に胸が小さくても困らないけどさ。彼氏がいる訳じゃないし)
これは負け惜しみではなく、心から思う。別に仕事一辺倒ではないが、彼氏の居ない今がそんなに悲惨とも思えない。ずっと追いかけていた親友は傍に居てくれるし、尊敬していた師は亡くなってしまったけど、その弟が自分を和ませてくれる。
(それに、彼氏が居なくても神乃木さんに助けてもらったし)
あの時、傘を持って現れた神乃木が女神に見えた。女神にしては、外見がややワイルドすぎるかもしれないけど。おそらく休日の筈なのだが、彼女は普段どおり、ベストにネクタイ、スラックスを着こなして参上した。それも何かのルールなのかな、と憶測を立ててみる。
(御剣は王子さまだけど、神乃木さんはハードボイルドって感じ)
女性を讃える言葉じゃないのは解っているが、それが一番しっくり来る。
まるでタイプの違う、それこそ両極の二人だが、共通するのはとても美人だという事。大人の女性の魅力に溢れている。
「……………」
なんて思った時に、自分の姿を鏡で見てしまったせいだろうか。後ろに撫で付けた髪が降りて頬が上気している様を見ると、とても御剣と同い年には見えないくらい、幼い。全くの私服で街を徘徊していた時、高校生にガッコー何処?と軽薄にナンパされた時は、怒りや悲しみの前にまず眩暈が起きた。
(何が違うんだ?やっぱり、眼かなぁ……)
あの二人との決定的な違いといえば、そこだろう。二人は鋭い眼光に相応しい双眸だけど、自分は黒目勝ちでしかも大きい。これは整形しなければどうにもならないが、それをするのは嫌だ。している人を批判する訳でもないけど。
ふわふわなタオルの感触を心地よく感じ、粗方水分の取れた所で下着を身につけようと思ったのだが。
「……………」
薄黄緑のシャツがある。これが着替えというのは、解る。
しかし、自分の下着一式がないのは、何故なのか。
「…………。あのー、神乃木さん……」
絶好調にゴウンゴウンと回っている洗濯機に嫌な予感が過ぎりながらも、浴室のドアをそっと開けて神乃木を呼ぶ。
「どうした、コネコちゃん。洗って欲しいのかい」
「違います!!……あの、下着……は……?」
「ああ、濡れてたから、洗ってるぜ」
「ええええええッ!!」
そんなぁ!と驚愕する一方、やっぱりか!と瞠目する。
「濡れた物は乾かす。それが俺のルールだ」
「それはそうですけど!でも!」
「あのシャツの丈なら、ちゃんとアンタの隠すべき所は隠してくれるだろうぜ」
「隠……って、何言ってるんですか―――ッ!!」
顔を真っ赤にして叫ぶ。おそらくこのレベルのマンションなら防音設備もばっちりだろうが、それを意識して叫んだ訳でも無い。
「だ、だって、だって下に何か着けないと……!!」
あうあう、と何を言ってるのか自分でもよく解らない。
目の前に居た神乃木は、またシニカルに笑う。
「それなら、ベットに潜るといい」
「………え、」
「ほら、俺もシャワー使いたいんだ。早くしな」
「あ、あぁ、すいません」
急いでシャツを着て、浴室から出る。どうしても下が気になり、でも丈を掴んで伸ばしてもいけないので、かなり歩くのに苦労した。
(うーん、それにしても大きい……)
10センチは違うのだから、この大きさには納得だろうけど。そして神乃木の言う通り、隠す所は一応隠してくれていた。
「クッ……!自分でけしかけたとは言え、そそられる格好だぜ……」
「不気味な事言わないでください。……じゃぁ、ベットに行ってますから」
そう言った後、なんか情事前のセリフみたいだ、とはっとなった。そして神乃木を見る。顔を見て、にやり、と神乃木が笑ったのは自分がそう思ってしまったのが、解ったからだろう。うぅぅぅ、と呻いて顔を赤くする。
(神乃木さんって、親切なんだか意地悪なんだか、よく解らないよ!)
羞恥と怒りで顔を赤くし、ベットに潜り込んだ。羽毛布団だ。軽くてほどよく温かい。綿の布団の自分とは大違いだな、とまたレベルの違いを見せ付けられてしまった。以前真宵と来た時は、ベットルームにまで入り込む事は無かったから、ここまでは知らなかったけど。
(それにしても、広いなー)
自分の部屋の3倍は確実にありそうだ。一体この違いは何処から産まれてくるんだろう。
はー、と自分に哀れみを覚えて溜息を吐き、そうしたら次に睡魔が襲ってきた。
(うう、マズい……このままだと、寝る……)
昨日は、今日の証拠の為に一日中駆け回っていた。就寝も仮眠と呼べるくらいしか時間を取っていない。だからこそ、早く帰って寝るのだと強行突破を試みた訳だが。ものの見事に失敗して、此処にいるという訳で。
(寝たら……ダメだよな。人のベットで……)
これが御剣か矢張の部屋だったら、すぐさま眠りに落ちていただろうけど。訪れて2回目で勝手に睡眠、なんてどれだけいい加減なヤツなのだ。自分は。
(でも……眠い……)
一度冷えて温まった身体。そして気持ちよく、少し疲労した身体を包む布団に、いつしか抵抗も薄れてゆるゆると眠りの世界に引きずり込まれてしまった。
(可愛い顔してるな、と思ったが、髪が落ちると本気で可愛かったな)
シャワーを浴びながら、本人が聞けば憤怒するだろう事を神乃木はさっきから思っている。
彼女を知ってから、どうも青いスーツが視界に入ると確かめずには居られない。そんな癖のおかげで、今日は大変な幸運を掴んだ訳だが。
十分身体が温まった所で浴室から出る。今度は彼女の身体を内側から温めるべく、コーヒーを淹れよう。
その前に、どんな顔してベットに潜っているんだろう。
沸き起こった悪戯心を抑える事はしない。好奇心を胸に詰めて、寝室を覗く。
「…………」
文字通りベットに潜っている相手に、ちょっと意表をつかれたように眼を丸くする。まさかそんなに訪れても居ない部屋で、眠りについているとは思わなかったからだ。顕著でこそないものの、彼女には若干人見知りの気があると思う。人見知りというか、よく知らない相手には簡単に打ち解けない潔癖さが。まぁ、自分とはそれなりの繋がりが出て来たけども。
起こさないように足音を消して、などとは思わずにずかずかと入り込んでいく。起きた時の相手の反応が楽しみだからだ。しかしベット際まで来ても起きる事はなく、ついにベットの空いている場所に腰を下ろしてしまった。二人きりの特権を生かし、寝顔を存分に拝見させてもらう。髪を下ろし、眼も閉じられている彼女はとても幼く見えた。四捨五入で三十路になるとはとても思えない。口元にある軽く握られた拳が何ともあどけない。
彼女の頬に手を伸ばし、甲でゆっくりと撫でる。化粧ッ気の薄い彼女は、肌触りがとてもいい。水でも弾くんじゃないか、とシャワー中に覗いてやるのを止めた事を、ちょっと後悔した。
顔を眺めるだけでは満足出来なくなったので、掛けている羽毛布団をごっそり取り上げてしまう。まだ、起きない。
これでだらしない寝相とかされたら、着衣の関係でこっちが気まずくなるな、と思ったが、そんな心配は杞憂に終わった。やや横向きで寝ている彼女の足は、閉じられている。
「………へぇ」
日頃自分の身体を見ては、目を剥くように吃驚しているが、彼女もなかなかどうして。自分ほどのインパクトは確かにないが、その分しみじみ見続けたいものがある。最も、それは彼女自体が気に入っているからなのだろうが。自分の与えたシャツの裾から、引き締まってすらりとした、でも柔らかそうな太腿が伸びている。さすがに此処を触るのはまずいか?と誤魔化すようにまた頬を撫でる。
「ん…………」
さすがに感触が解ったのか、むずがるように枕に顔を埋める。が、それにより自分の状況、つまり他人の家に居るという事を思い出したのか、一気にガバッと覚醒した。
「ご、ごめんな………ッ――――きゃぁぁああああああああッッ!!」
彼女のそんな可愛い悲鳴は初めて聞いたな、と相手の驚愕をそっちのけで呑気に思う。いつもは「うわぁ!」ぐらいの叫び声しか聞いた事がなかった。
「か、か、か、神乃木さんッ!ふ、ふ、服ッ!!」
「ん?服がどうかしたかい?」
相手の瞠目の理由が解っていながら、尚呼びかける。我ながらちょっと悪趣味だな、と思いながら愉快な反応をしてくれる彼女が悪いのだ、と理不尽に責任を転嫁させた。
「服!!着てくださいよ―――ッ!!」
と、成歩堂は絶叫した。その言葉通り、神乃木は下は穿いているが、上は潔いまでに何も身につけていないからだ。そう、ブラジャーさえも。起き抜け一番に、目の前にボリュームがあり形の綺麗な見事な乳房があった衝撃は、計り知れない。
予定通りで想像以上のリアクションに、とても満足する神乃木だ。
「クッ、女が女の胸見て騒ぐもんじゃねぇぜ」
「騒ぐ!騒ぎます!!!」
「アンタもなかなかのモノ、持ってるじゃねぇか?」
腕で必死に眼を覆っていた成歩堂は、その言葉にはっとなる。そう言えば、被っていた布団の感触が無いではないか。おまけに、今は身を縮込ませるように、足を胸に付けるように折り曲げている。下着の無い状態でこの姿勢を取ると………
「や………やぁ――――――ッ!!」
自分でも何を言ってるのか解らないが、とにかく叫んで胸元を押さえ、丈もぐいっと力強く伸ばす。他人の物、という考えはどこかに消し飛んだ。
「ぅ………うぅぅ………っ………」
「安心しろよ。見えちゃいねぇぜ」
羞恥に可哀想なくらいまで紅潮させ、ぎゅっと瞑った目には涙が浮かぶ。さすがにからかいすぎたな、と思い、素直にフォローを入れた。
「っなんで……こんな事するんですかぁ………」
普段見せない所の肌を晒される危険に、身を震わす。
「そりゃぁ……アンタが可愛いのがいけないんだろうぜ」
「……………?」
いつもみたいに煙に巻くのか、と疑うような視線を投げる。それに、ふ、と微笑でもって返した。
「アンタが可愛いから、ちょっかいかけたくなるのさ」
自分がそう思うのは、実質後輩だからの加護欲。
それと、支配欲からだろう。
この可愛さを手元に置いて、自分の手でより一層引き立たせたいと望んでいる。強く、心から。
「……………」
ぱちり、と一回瞬きをしてから、顔を隠すように顎を引いて俯く。今言った自分の「可愛い」が社交辞令やジョークでも、ただの褒め言葉でもないのを感じ取ったからだろう。
「可愛いな、アンタは」
睦言を言うように、耳元で囁く。実際そのつもりで言ったのだが。
耳元で囁いたついでに、こめかみの部分に口付けを施す。ぎょっとしたような顔で、僅かに涙を残す大きな眼が自分を映した。
「何、す…………」
「……アンタ、少し無防備が過ぎるぜ」
「へっ?」
普段よりトーンを落とし、そう告げると、何の事か解らない、といった具合にきょとんとする。その顔は、正に無防備。
「知り合って間もない相手の部屋でぐぅぐぅ寝るなんてなぁ……」
「ぅ……そ、それは………」
自分でも厚かましいと自覚があったのか、言葉に詰まる。けれど厚かましいとか図太いとか、今言いたいのはそういう事ではなくて。
「そんなんじゃ、犯されちまっても文句は言えねぇぜ?」
「はぁ??」
さっき以上に理解不能、といった顔になる。その無防備さが可笑しくて、可愛い。
「い、いや、そりゃ、いくらなんでも相手が男性だったら、こんな簡単に部屋に入ったりしませんよ!?」
ましてやベットで眠るなんて以ての外だ。そんな遊び人みたいに思われるのは心外だ、と弁解する。
「………なぁ、まるほどう」
頭の左右に手をつき、覆いかぶさる。またしても大きな胸が真ん前に来て、ぎゃっとなり、目を閉じて顔を逸らすように横にする。その耳に、セリフを吹き込む。
「アンタ、女同士じゃセックスは出来ないとか思ってんのか?……だとしたら、そりゃあまりに世間知らずが過ぎるってもんぜ」
「…………?」
眼は閉じたままだが、あからさまにこちらを気にしているのが手に取るように解る。クッと一度喉を鳴らす。そして、顔を近づける。
「え、な―――ッ!!?」
途端、耳の中に何かがざらりと這う。未だかつて感じた事のない感触に、弾かれたように眼を見開く。そうしたら半裸の神乃木の身体はあるし、あまり動くと見えるし、耳の中はまだ何されているしで処理すべき事が多すぎてパニックになる。
「なななな、何、何してるんですか―――ッ!!」
とりあえず、眼を閉じて喚く。すると神乃木は答えるように、再びこめかみにキスを落とす。今度は、しているのを解らすためにわざとチュッと音を立てて。その甲斐あって、相手の顔が瞬間で赤くなる。
「ちょ、ちょっとぉ―――ッ!!?」
「あまり暴れると大事な所が見えるぜ」
「!!!!!」
自分から逃れるような抵抗をし始めた成歩堂に告げると、面白いくらいピタッと動きが止まる。
「ほ、本気でこんな事………?」
するつもりなのか、と言葉に出さずに問う。
「ああ、本気だぜ」
ちゅ、と首筋を吸い付くと、ビクリと身体が戦慄く。
「で、で、で、でも……ッ!」
「クッ………、突っ込むモノがねぇって言いたいのかい?」
「そ、そーゆー事じゃなくて!!」
それも思ったけど、と冷静な自分が呟く。
「安心しな。愛の形も色々なら、セックスの仕方も色々……だぜ」
そう言って、先ほど触りたいと思った太腿を掌で撫でる。相手の身体が怯える硬直した。
「ちょ……ちょっと!シャレになりませんよ、これじゃぁ!」
「ああ、勿論シャレじゃねぇ」
「そういう意味っ………ッッ……!」
噛み付くように異議を申し立てようとして――言葉が引っ込んでしまった。
相手の顔を、目をまともに見てしまって。
確かに、その顔はシャレでも冗談でも無さそうだ。
いっそ怖いくらに真剣に、自分の事を見て――全部が本気だと語っていた。
からかいでやっているなら、いくらでも突っぱねられるが、誠意を見せられると、無下に打ち払えない。それはもう、性格云々よりも人格に染み付いている。
今まで訳も解らず怯えさせたのを詫びるように神乃木は優しく笑いかける。と、彼女の目が揺れる。相手の持っている感情が純粋な好意だと知ってしまったからだ。
目元に朱が入っていて、それは元々幼いつくりの顔と相反してむしろ余計に艶かしく思えた。
「ったく……可愛いったらありゃしねぇ」
まるでぼやくように呟く。そうすれば、可愛いの言葉に反応して、相手の顔が一層赤くなった。
お、いい反応だ。と、気を良くして顔を近づける。
「う、ぁ…………」
神乃木の顔が寄ってくる。おそらく、さっきまでみたいにこめかみや頬や額ではなく、口にするつもりなのだろう。何となく、解った。
(どどど、どうしよう……)
今までのはかなり無理があるとは思うけど、何とか過剰過ぎるスキンシップとしておけるような気がするが、いくらなんでも口にキスされるのは。それは。
中にはキスは浮気の内には入らないとか言う人も居るが、自分はそうは思わない。口にキスをするのは崇高な愛の証……なんてのはちょっと大袈裟だけど、やっぱり一線を引く行為だと思うのだ。
「……………」
普段だったら蹴飛ばしてでも抵抗しただろうが、今は本気で一枚しか身につけていない自分の状況と、それ以上にさんざん混乱したせいでまともに頭が働かない。目覚めた時から続く背徳めいた空気にすっかり麻痺してしまい、酒に酔った感覚に近いものがある。
(どう……なっちゃうのかな、この先……)
そう思うのは、ただの好奇心からなのか、その他の感情からなのだろうか。
誰かの顔を思い出せ、と意識の一番奥で自分が訴える。けれど深い霧の向こうで叫ばれているようなそれは、今の自分には何の障害にもならなかった。
いよいよという所まで神乃木の顔が近づいて、ああキスされるんだ、と期待と不安に胸が痺れる。
何処か他人事のように、その口付けを受け入れようとした時だった。
リンゴーン!リンゴンリンゴンリンゴンリンゴーン!!!
「………………」
悪戯にしてはあまりに執拗なチャイムの音が、ひたすら室内に響き渡る。
なんだなんだ?と眼を丸くして玄関の方を向く。クッと自分に覆いかぶさっていた神乃木が愉快そうに喉を鳴らした。
「さすが王子さまだ」
危機一髪のタイミングは外さねぇんだな、と成歩堂にはさっぱり意味不明な言葉を呟いて、出迎えるべく玄関へと向かう。傍にあったシャツを適当に羽織って。きょとんとして身を起こした成歩堂は、その背中を見送った。
「……………。
……………………………。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッッ!!!」
一人残され、まともに判断が出来る状態になると、顔を今までで一番赤くし、ベットに突っ伏した。
(な、何を……!さっき何をしようと…………!!!!)
抱かれる事を甘受した。深く思い出してみると、自ら望んで促したようにも思えた。それは成歩堂の錯覚なのだが、少なくとも本人はそうとしか思えなかった。口付けを抵抗せずに受け入れようとした、なんて。
(こ、これからどんな顔して会えばいいんだよっ………!!)
神経が焼ききれるような羞恥に悩まされ、涙が出てくる。とても神乃木の顔なんて見れない、と思うのだが服をまだ返されてない以上、少なくとも今日中にあと一回は会う必要がある。文字通り、穴を掘ってそこに入りたい気分だ。
ベットの上で頭を抱えていると、何か話す声が聴こえる。そう言えばさっき誰か来たんだっけ、と少し前の事すらも忘れるまでに動揺していた自分に呆れる。
しかし、話していると言うか、一方的に相手が怒鳴り散らしているように思える。性質の悪い訪問販売でも来たのかな、と思いながらも、その声や口調がどこかで聞いたもののように思えてならない。
細い記憶の糸を辿る前に、相手が室内に侵入してきた。バン!と強くドアが開かれる。
「成歩堂!!!」
自分の名前を大声で呼んで入って来たのは自分のよく知る麗人だった。
「――御剣!!」
なんでどうして此処に。当たり前の質問をする前に、凄い剣幕の相手が駆け寄る。
「大丈夫か!変な事をされ――――」
相手のセリフが不自然な所でぷっつりと切れた。どうしたんだ?と窺ってみると、相手は目を剥いてひらすら自分を凝視している。一体なんだ、と思い返して――何故、どうしてなんて思えたのだろうか。
起き上がって、ベットの上に座った自分はシャツの丈が若干捲りあがり、それは下着を身につけていないと相手に解らすのには十分なくらいだった。
「な―――」
「み……見るな―――――ッッ!!!!!」
相手目掛け、バーン!と思いっきり枕を投げつけてしまった。固いものではないが、力一杯投げつけられて平気な物でもない。もろに顔で受けてしまった御剣は、顔を抑えて座り込んだ。
「――――――ッッ!!!」
「ご……っ、ごめん!御剣!ごめん!!」
慌ててベットから降りて、蹲る相手にひたすら謝る。御剣はゆっくり首を降り、気にするなとでも言いたのだろうが、顔を上げていない状態で言われても信憑性は無い。
「ごめん!本当にごめん!」
「っ……神乃木…………!」
何故か御剣は、自分ではなく神乃木の名前を口ずさんだ。しかも、苦々しく。恨まれるべきは枕をぶつけた自分ではなかろうか、とちょっと悩んでしまった成歩堂の肩を抱き、後ろを振り返る。と、ニヤニヤした笑顔をした神乃木が居た。御剣につられるようにそちらを見てしまい、さぁっと顔に熱が走る。
「成歩堂に何かしたのか」
「それは今からの事だぜ」
「わ―――――――――ッッ!!」
神乃木のセリフを打ち消すように大声で喚く。しかしそれは至近距離に居た御剣にダメージを与えてしまったようで、またしても彼女に平謝りした。
「……あ、あの、どうして御剣が、此処に……?」
質問なんて出来る立場でもなさそうだが、どうしても気になった。
「どうして……?」
成歩堂が問うと、御剣は一層顔を険しくした。それにまた、ごめん、と謝る前、携帯電話がにゅっと突き出される。
「こんなメールを貰って、見過ごせられるかッ!」
「え?……………。………―――――ッ!!」
見せられたメール文に、どうリアクションすべきか、成歩堂は真剣に困った。ただ、迷う心とは裏腹に、顔はすぐ赤く染まった。
[今から本格的にコネコちゃんを俺の物にするぜ。
俺の中で可愛く鳴いてる様子を見たければ、今すぐこっちに来るといい]
(コネコって!可愛くって!!鳴いてるってぇぇ―――――ッ!!?)
どうもさっきの事のせいで、変に深読みしてしまう。たぶん、それで正解なんだろうけど。
「な、な、な、コレ……」
セリフにならない言葉にて、神乃木に問う。このメールの真意を本人から聞きたい。真実は暴き出さなければならない職業病だろうか。
「勝負ってのはフェアでこそ勝った時の爽快感が増すんだぜ、まるほどう」
「…………?」
にやり、と告げられた事に、きょとんとする。
此処に訪れて若干時間が過ぎ――最初ほどの激情の薄れた御剣は頭を冷静にさせて分析を始める。
どうやら、際どい所だったようだが、本格的な事はされてないみたいだ。出なければ、いくら自分の事に淡白な成歩堂とは言え、そんな事をされた相手に質問したり話が出来るとは思えない。
次に、洗濯機が動いている音が聴こえる事。今日、夕立が予報されていた事を照らし合わせ、傘を持たずに雨に濡ていた成歩堂を、神乃木が拾って自宅に招き入れた、という具合だろう。
そして今の神乃木のセリフ――天候というイレギュラーな幸運で成就するのではなく、正攻法を持ってこそ手に入れるのに意味がある、と言いたいのだろう。だからこそ、そのまま事を進められる所を、自分に報せた――超えるべき障害物として――
(とか言う以前に、やはりコイツは本気だったか!)
いまいち自分の独りよがりな嫉妬、というフィルターが拭えなかったが、今この瞬間それは払拭された。いや、もっと取っておくべきだったのだ。そうすれば、コイツに気をつけろ、と成歩堂に厳重注意をくれてやる事が出来、こんなスレスレの自体にはならなかっただろうに。
例え本番までいかなくても、そこに持ち込もうとした時点で有罪である。
(しかもこの格好……!)
まるで情事後そのものではないか!と一度は冷静にさせた筈の頭が、またブスブスと嫉妬の炎で燻っていく。
「あ、み、御剣……?まだ、顔痛い……?」
御剣の憤怒の理由を、簡単に取り違える成歩堂だった。
「――帰るぞ。送ってやる」
腕を掴んで、ぐいと立たせる。
「ま、待ってよ御剣!」
どうやら本気で帰ろうとしている御剣に、焦って声を掛ける。
「服!こんなんじゃ、帰れないよ!」
「……………」
そういえば、今の成歩堂は先ほど自分が比喩したみたいに、ワイシャツ一枚きりだった。
自分のジャケット掛けて……も、ダメだろう。下が無防備過ぎる。
「…………。何か服を貸せ」
神乃木に頼む。いや、威圧的に命令する。
「やれやれ。服が乾くのも待てねぇのか?せっかちな王子さまだ」
「黙れ……貴様に借りを作るのは癪だが、それ以上に此処に成歩堂を置いてはおけん!」
「え?いや、別にこれから予定とか無いんだけど……」
「そういう意味で言っているのではない!解らないのかッ!」
あまりに日常ボケしてくれる成歩堂に、御剣の鋭い叱咤が飛ぶ。あまりに鋭くて、何か物理的攻撃でも浴びているようになった。そして、その突っ込みにより、先ほどのやや背徳めいた時間が呼び起こされる。
「……………」
何となく、神乃木を見た。
「…………クッ、そんなに見られると照れちまうぜ」
「っ!」
ぱっと慌てて顔を逸らす。その顔が赤いのに、御剣は今度は腹の中が焼ける思いがした。いやもう、成歩堂と神乃木が何か言葉を交わすだけで、腸が煮えたぎる。
「さっさと服を持って来い!」
「お、おい、御剣……」
厚かましい要求の上、頼むにしても言い方があるだろ、と嗜める成歩堂。しかし、神乃木はどうやら御剣の要求に応えるらしかった。寝室から消える。
「…………。み、…………」
呼びかけようとして、止めた。彼女は今、ただ呼吸をしているだけだというのに、それだけでも怒っていると見て解るくらい、激怒していた。しかも、多分直接ではないだろうけど、自分も原因の一端を握っていると思われる。だって、此処に来て自分を見てからだ。こんなに怒っているのは。
玄関口に居た時と違い、叱咤も出来ないくらい、怒っているのは。
過去自分の車を犯罪に利用された御剣は、その車を処分していた。その後、失踪なんて事をやらかしてくれたから、その準備として当然だろうけど。
しかし、帰国後、また再び車を購入したようだ。
どうして?と何気なく質問をしたが、彼女はやや赤くなり、必要があったからだ、とだけ言った。何で顔を赤くする必要があるんだろう?と成歩堂は訝しんだ。
そしてその車の助手席に乗っていた。ここから見える景色は、自分にとって定番と言っていい。それほどまで頻繁に乗っている。真宵がそれを指して、半分なるほどくんのものみたいだよね!と言ったくらい。
いつもは、目に入る光景とか、流している音楽とか、他愛ない日常会話を不器用な彼女なりに発展させているのだが、今日ばかりはそうもいかないようで。
「……………」
「……………」
「……………」
「……………」
(うわぁ〜、怒ってる、怒ってるよぉ〜〜〜〜)
空気だけで相手の感情を推し量れるものだから、人間って凄いものだ、と妙な事まで考えてしまう。
怒っている。かなり。
しかし、そこは御剣なので感情で運転技術が左右される事は無かった。車は法廷速度と周囲の速度に抗わないよう疾走する。
そして、ついに、というかアパートの前についた。雨はもうとっくに止んでいた。やっぱり通り雨だったみたいだ。
「……御剣、あ、ありがとう……」
「……………」
送ってもらっら礼を言っていても、御剣はまだ車が動いているように真正面を見据えたままだった。おまけに、眉間には皹が入っている。怖い、と率直に思う。
しかし同時に、綺麗、とも思ってしまう。美人が怒った時が一番綺麗――なんか、そんな陳腐な台詞を聞いた覚えがある。その通りだな、と思った。
「ええと……部屋、上がってく?お茶くらいはあるよ?」
さすがに君みたな茶葉の紅茶は無いけど、と話しかけてもやっぱり無言だった。
(怖い、よぉ……)
涙まで浮かんできそうだ。
しかし、成歩堂には御剣のここまでの怒る理由が解らない。さっきのあの場は、親友をからかう神乃木に怒ったのだ、というのは解るのだが、あれから場所も移動し、神乃木も居なくなった今、どうしてまだ怒っているのか。そもそも自分に怒っているのか。彼女の怒りの矛先は、どう逃げようとしても自分しかあり得なかった。だって、そうでないなら、何も話をしなかった?
解けない疑問の山は、増える一方だ。いっそ、本人に直接訊いてみようか。何を怒っているんだ、って。もうこれ以上どんな失言をしようが、事態が悪化するとも思えないし。
成歩堂がそう口を開こうとした時、御剣がその先手を打った。
「…………何もされていないか?」
「えっ?」
「だから、あの人に……神乃木に、何もされていないのかと訊いている!」
よく解らないが、質問には答えるべきだと思った。
「さ、されてないよ。何も……」
されそうにはなったけど。かなり。
でもちょっと狡猾に、それは伏しておこう。焚き火にガソリンを浴びせる事はしない。
「………本当か?」
ここでようやく、御剣が成歩堂の顔を向いた。
真摯な双眸に、ドキリと胸が弾んだ。
「う、うん………」
何か居た堪れなくて、服の裾を掴んだ。神乃木の服だ。彼女の家独特の香りがして、着ていて。何か妙な気持ちだった。
「……君の顔も名前も、一切晒さずに告訴するのも可能な事だ。だから……」
本当の事を教えてくれ。
喉に押し込んだ彼女の声が聴こえたような気がした。その言葉を封じたのは、不躾が過ぎると思ったからだろうか。
「何も無いよ。本当だよ」
「…………」
知らず、成歩堂は慰めるような口調になった。
何故って。
「………ねぇ………」
と、ゆっくり彼女に手を伸ばし、頬に触れる。――濡れてはいない。けど。
「どうして、そんな泣きそうなの……?」
「…………………」
痛ましく、眉を寄せて顔を顰めて。
まるで御剣自身が傷ついてるみたい――
(どうして?)
目で問う。どうしてそこまで心配するの?
それに応えるように、御剣は頬に添えられた手をそっとその上から握る。
「……本当に、何も……?」
「うん…………」
「…………」
少しの沈黙の後、再び御剣が口を開く。
「……………。君、が………」
「うん?」
「………………」
ぎゅ、と握る手に力をこめる。それが何かの開始の合図みたいで、知らず成歩堂は体をぴくりと反応させた。
(え……っと、アレ……何か……)
心臓が………
胸の上から当てて確かめるまでもなく、まるで早鐘のような鼓動と鳴っている。
別にさっきみたいに半裸で迫られている訳でも無いのに、その時みたいな甘い痺れが触れて、触れられている手から全身に伝う。クラ、と頭の芯がぶれた気がした。
(何、コレ…………)
解っている何かから、必死に逸らしているようなもどかしさ。もっと明瞭な答えが欲しい。こんな中途半端は……もどかしい。
「………………」
成歩堂、と御剣が自分の名前を呼んだ。それだけだ。いつもと変わらないそれだけなのに、どうして胸がまた弾んだ?特別な事をされたみたいに。
「………………」
グ、と御剣が自分に身を乗り出す。何をされるか、多分、解っている筈だ。
「………………」
伸ばした手が、戻って来る。御剣を連れて。
「………………」
メイクの薄い彼女から香水が香る。もうこんなに近くなった。それを感じ、目を伏せ――
ブロロロ………
「!」
「!」
傍を一台の車が通り過ぎ、二人は夢から覚めたみたいに目をこじ開けた。
「……………」
「……………」
「……………」
「……………」
「ぁ……じゃ、じゃあね!ありがと、御剣!」
「あ、あぁ………」
何かを吹っ切らせるように、無理に馬鹿に明るい笑顔を作って車から降りる。じゃあねー、と最後にまた手を振って、御剣の顔を見ないよう、真ん前だけを見て部屋に駆け込む。
「っ、…………〜〜〜〜〜〜ッ!」
万年床はだらしない、と思うが、こんな時にありがたい、と思ってしまう。
戻るなり、布団に寝転んだ。もう、立っても居られない。
(………キス、しようとしてた…………)
けしかけたのは、自分か、相手か。
どっちでもいい。
だって、受けれようとしたのだから、どうせ結果は同じ――――
自覚した途端、また顔がぼっと赤くなる。
(〜〜〜〜嘘ぉ―――――ッ!そりゃ、確かに二人はすっごい美人だけど!でも、だからって……!)
自分に同性愛の気は無い筈だ。……多分。今となってはそんな自信すら揺らぐ。
「………………」
(でも…………)
神乃木の時は、ベットの上で相手も自分もほぼ裸、という特殊な空間で、その空気に流されそうになった……って感じだけど。
御剣の場合は。
車の中で、普通にしていただけなのに。
目を見ただけなのに。
それだけなのに…………
自分を心の底から心配したような御剣の顔を思い浮かべ、成歩堂は切望していた眠りについた。
END
危うく年齢制限引っ掛かる所でした。危うい危うい。
もーちょっとコミカルな感じで短かったんですが。
うーん、あのまま突入させてもよかったかも?(黙れぃ)