11月に入り、そろそろ合い服では厳しくなって来たようなので、吉田は「面倒」という名目で先送りしていた冬服への衣替えを決行する事を決めた。マフラーやその他防寒具は、もう少し先でもいいだろう。
 皆がそろそろ冬を、冬の一大イベントであるクリスマスを意識し始めている。教室で誰かが呼んでいる地方誌の表紙は、意識して見なくてもクリスマスのスポットを紹介しているのが解った。女子も、当日及び前日の佐藤の動向を本格的に気にし始めている。吉田は今から覚悟を決めておいた。不意打ちで殴られるよりは、やられると解った方がまた痛くない……ような気がする。
 そんな浮足立った雰囲気の中、教壇に立った担任は言った。
「もうすぐ、今年も終わりが近い。クリスマスもあっという間に来るだろう」
 しかし、と一回区切って教室内を見渡してた。そして。
「それよりも先に大事な事がある!」
 と、言ってから、教師は期末テストの日程を黒板へと書いて行く。教室内から溜息のような重い空気が充満する。
 テスト週間の始まりだった。


 黒板に書かれた日程によれば、吉田の苦手とする英語は最終日の最後だった。勉強の猶予があって良かったような、苦手な物は早めに終わりたいような。
 吉田は英語が本当に苦手だ。あれが言語とは思えない。きっと何かの呪文に違いない。さっぱり、これっぽっちも解らないんだから。
 朝のHRでテストの日取りを知らされたその日、早速授業に英語が組み込まれていてテストの範囲を発表された。この時の吉田に感情の起伏は無い。どれも、苦手な所しかないからだ。
(あーあ、憂鬱ってこんな時を言うんだな………)
 最近の漢字の小テストに出てきた熟語を引用した。その吉田の憂鬱さは後日にも引きずった。朝から足が重い。
「おはよ、吉田。……いきなり顔が沈んでるな」
 登校時、昇降口で佐藤と出会った。出会って挨拶を済ますなり、佐藤は吉田の顔を我が物のように好きに扱った。片側の頬をむにゅ、と軽く抓む。痛くは無いけど、それならいいというものでもない。何すんだよ、という声と共に佐藤の手を振り払う。
「だって、テストだぜ、テスト。期末だから範囲が微妙に広いしさぁ………」
「そりゃそうだけど、何も今から凹む事は無いだろ。テストが返って来て、どうしようもない点数だったら凹めばいい」
 慰めてるのか畳み掛けているのか、佐藤のセリフの分別は難しい。
「佐藤みたいな勉強の好きなヤツ、俺の気持ちなんて判んないよ」
 テストなんてどうって事ないよ、という佐藤の態度が少し癇に障って、吉田はつっけどんな態度を取ってしまう。
「俺が勉強好き? とんでもない、それはお前の方だろ」
 佐藤に言われ、へ? と吉田が顔を傾ける。
「だって、2回も3回もテスト受けるんだから。俺はそこまでしたくないなぁー」
「…………俺だって、好きでしてるんじゃないっつーの!!!!」
 ふつふつとわき起こる怒りのまま、吉田が佐藤に食ってかかる。
 別に、佐藤は吉田を怒らせたい訳では決してないけど、こうなった時の吉田はつまり自分の事しか頭にない訳だ。それが嬉しくて、つい、意地悪にからかってしまうのだ。
 ごめんごめん、と佐藤は言って吉田の頭をぽんぽんと軽く叩くように撫でる。癖の強い吉田の髪は、撫でていて手触りが良かった。
 吉田はまだ怒り冷めやらずと言った具合に眦を吊り上げていたが、ふん、と鼻を鳴らしてそっぽを向いた。機嫌は直ってないものの、失言に近い佐藤のセリフを掘り返してまで責めるのはしない。何だかんだで、相手に悪意が無ければ許してしまうのだ。
 吉田のそういう所に、佐藤は救われてるし、惚れているけども。
(不安なんだよなぁ……俺の他にそういう所に惹かれる人が出ないとも限らないし…………)
 いや、出る。いつか絶対出てくると思う。
 多少周囲が認識するモテる男の価値観が変わっただけで、吉田の本質が変わった訳じゃないのだから。小学校の時のような事は、また起こる。
 まあ、もし出てきたらそんなヤツ、吉田の目に触れる前に闇から闇に葬ってしまおうと佐藤は決めている。そう思う佐藤の背後にはどろっとした瘴気が立ち込めているが、気付ける人はいない。
 教室に近づくにつれ、吉田の憤慨も鎮火していく。怒りが治まったというよりは、再びテストへの事で頭が一杯になって来たんだろう。自分以外の事を考える吉田に、こっち向いてよ、と悪戯みたいなちょっかいをかけたくなる。
「まあ、今回も――――」
 俺が教えてやるから大丈夫だよ、と言おうとした佐藤の耳に、ざわつきが纏う。そのせいで思わずセリフが途切れてしまった。
「ん……何だろ?」
 吉田は佐藤を見上げて首を傾げた。おっ、可愛いな、と佐藤はまずそう思う。
 確かに、佐藤も何だろう、と思った。別にざわめきが走るくらいどうって事は無い。佐藤が登校すればいつもの事だ。
 ただ、今のそれは女子では無く主に男子の声で占められている。
 この状態には、以前見覚え――というか聞き覚えが吉田にはあった。佐藤はその場には居なかった。
 結局は、その原因と遭遇したのだけど。
 そのざわめきの原因は、周囲の空気さえ変えてしまうかと言うくらいの、とてもとても煌びやかな女性。
「艶子?」
「艶子、さん?」
 ほぼ同時に二人は声を出していて、艶子は優雅に「お二人とも、御機嫌よう」と微笑んだ。


「で、今日は何の用だ?」
 佐藤は明らかに艶子の来訪を歓迎していないようだった。机に頬杖をついて、不躾に本題を切り出す。
 出会ったその後、とりあえず話せる所で、という事で3人は落研の部室へとやって来た。決して綺麗とは言えない室内で、絶世の美男美女が向かい合ってるというのは実にシュールな光景だった。それを見ているのは、吉田一人だけ。
 佐藤の隣に座った――座らされた吉田は、どうしていればいいのか、まさに借りて来た猫のように大人しくしている。
 出来れば、この場には同席したくはなかった。艶子はとてもいい人だし、佐藤への感情に色恋沙汰が交る事は無いときっぱり否定もしている。それでも、傍目見てお似合いの二人が並ぶのを見ているのは吉田にとって気持ちのいいものではなかった。見た目だけなら、並んだ二人は非のうち用の無いお似合いの恋人同士に見えるからだ。
 決して愛情ではないけど、同じ苦労を共有している同士の独特の空気が確かにある。女子達が並んだ二人を恋人だと勘違いするのも無理のない話だ。
 佐藤の物言いに、艶子はまぁ、と上品に口元に手を当てる。
「相変わらず、酷いのね。友達に会いに来ちゃいけないのかしら?」
「時と場合と俺の機嫌による」
 何じゃそら、と口を挟めない吉田は胸中だけで突っ込んだ。
 酷い言いようの佐藤だが、艶子は特に気にしてないように話を続けた。その当然のような流れが、付き合いの深さを教えてるみたいで吉田の胸の内に黒い雲のようなものがむくむくと広がって行く。
 口に当てていた手を頬にずらし、艶子はアンニュイにふぅ、と溜息を洩らした。
「そろそろ、今年も終わりが近いでしょう? だから、年末年始を海外で過ごす方々が今、今年の付き合いを果たそうとして、色んな催し物が重なってしまいましたの」
 疲れて言っている所を見ると、艶子はそれに顔を出しているみたいだ。すげーなー、と吉田はやっかみを通り越して感心してしまった。
 だからね、と艶子は続ける。
「始終、大人達と顔を突き合わせていて、何だか疲れてしまったの。だから久しぶりに、友達と遊んで気分をリフレッシュさせたくて」
 にこっと艶子は微笑む。その笑みは、本当に綺麗で美しい。
(そっか、佐藤を誘いに来たのか…………)
 そんな事だろうと思ってたけど、と吉田は思う。
 それなら、それとなく退室した方がいいだろう。さっきから機会を伺っていた吉田が、今がその時と切り出そうとした時だ。
「それで、吉田さん。今日はこの後、何か予定でもあるのかしら?」
「…………えっ?」
 今、聞き間違いでなければ、艶子は自分の名前を呼んではいなかったか。知らず俯いていた顔を上げてみると、それまでただ前に向かれて二人を満遍なく見ていた艶子の顔は、明らかに吉田にだけ向けられている。それも、一層煌びやかな笑みと共に。
「甘い物はお好き? それなら、美味しいタルトを振る舞ってくれる所に案内出来るのだけど。
 勿論、他の所でもいいわよv 吉田さんの行きたい所でv」
「え、えっ、え………っっ、ちょ、ちょっと待って! ちょっと待って!!」
 なんだか現実に追いつけなくなった吉田は、酷い乗り物酔いに見舞われたような眩暈に襲われた。ぐるぐるしている吉田を満悦の顔で堪能しながら、艶子は「あら何かしらv」と小首を傾げて長く艶やかな髪を揺らす。
「そっ、……その………とっ、友達って俺ぇ!?」
 吉田は自分を指差し、とても間の抜けた発音で言った。
 艶子は、途端表情を曇らせて、
「……あら、わたくしはそうだと思ったのに、違ったのかしら……もしかして、御迷惑だったかしら」
 しょんぼりとしてしまった艶子に、吉田は一層慌てた。
「ちっ、違っ……そうじゃなくて、えっと、まさかそんな、俺とは思ってなぐえっ!
 急いで艶子を慰めようとする吉田のセリフが最後呻きに変わったのは、横に居る佐藤が片腕で頭にホールドをかけるようにして口を塞いだからだ。う゛ー、む゛ー、とセリフにならない呻き声が聴こえる。
「計算だよ演技だよ。誤魔化されるなこのくらいで」
 低く呟く佐藤は、かなり不機嫌絶頂らしい。ぎゅうぅぅ、と吉田を一層強く引き寄せる。吉田は自分の呼吸を心配し始めた。とりあえず、今は出来てるけど。
「心が狭いのね、隆彦。このくらいでもうヤキモチなの?」
 うふふ、と艶子が微笑む。心なしか、さっきより迫力が増してるような気がした。
「って言うか、お前が来ると吉田が妬くんだよ。だからもう帰れよ、お前」
 まるで餌を取られるようなオオカミみたいに佐藤は威嚇して、片腕だけなのを両手でがっしり吉田を抱きしめた。
「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っっっっ!!!!」
 佐藤にされてる事と言われた事に、吉田はもう顔が真っ赤だ。片方の腕が口元を覆って居て、肌の露出が少ないとは言え、そのわずかに見える肌だけで真っ赤だと解る程だった。
(ああ、吉田さん、何て可愛らしいvvv)
 艶子はそれをにこにこして眺めた。ここ最近溜まったストレスが、シュワ―と炭酸の泡のように消えていくかのようだ。
「だいたいな、もう昨日からウチはテスト週間なんだよ。吉田はいつもテストギリギリなんだから、そんなのに付き合ってる余裕はない」
(そんな事言わなくてもいいじゃないか―――――ッッ!!!)
 佐藤のバカー! とさっきとは違う意味で吉田は顔を赤らめた。薄ら目には涙を浮かべて。
「あら、そうでしたの?」
 艶子がはっとしたように言う。どうかそのセリフが指すのが”ギリギリ”な所では無く”テスト週間”にかかっていますように。もはや神に祈るしかない。
「うっかりしてましたわ。わたくしの学校とはカリキュラムが違うのですものね」
 艶子はそうは言うが、それはうっかりしていたというよりも、普段が周囲が彼女に合わせるような生活だからだろう。だからいつも訪問が急なのだと吉田はそう思う。
 艶子はカタン、と静かに席を立ち、身動きの取れない吉田の所まで赴いた。辛うじて、視線が開けている吉田は艶子の姿を見る事は出来た。
 こんな格好で、と吉田が顔を赤らめる。艶子はうふっと可憐に笑う。
「じゃあ、またの機会ね、吉田さん」
「無いからな、そんな機会」
 佐藤のセリフは艶子と吉田のどっちに言ったのだろう。まあ、両方だったとしても不都合は無いのだから、両方だろう。
「もしテストに不安があるなら、わたくしが教えてあげてもよくってよv これでも、前回は学年1位でしたのv」
 艶子さんもか、と吉田は瞠目しながらも納得した。彼女の気品には知性を感じられる。
「それも俺が教えるからいいんだよ。ほら、もう吉田で十分遊んだだろ。これ以上は本当に許さないからな」
 遊ばれてたのか、俺、と吉田は何だか嬉しいような悲しいような……悲しいな、多分。吉田は自分に憐れんだ。
 うふふ、と艶子はまた綺麗に微笑んだ。
「では、二人とも、ご機嫌よう。隆彦、吉田さんをあまり困らせてはダメよ」
「余計な御世話だ」
 余計な御世話かもしれないけど外してないと吉田は思った。
 そうして艶子は去って行ったが、それでも佐藤は吉田を抱きしめてる腕を緩めようとはしなかった。いい加減息苦しさを感じた吉田が、腕を軽く叩くまでその抱擁は続いた。佐藤の意志に任せていたら、永遠に外れないような気さえした。
「……え、えっと、佐藤………」
「ん?」
 と応える佐藤の声は硬く、表情は眉間に皺を寄せたものだった。
「別に俺……妬いてないし。艶子さんは友達だもんな」
 な、と呼びかける吉田は、何だか無理して笑ってるように見えた。
 佐藤はその引っかかりを少し考えてみて、
(………ああ、)
 すぐに結論に達した。ふ、と軽い苦笑で顔を緩め、吉田の頬を撫でる。なんだ?と吉田が不思議そうに佐藤を見た。
「別に俺はお前が妬く事が嫌なんじゃないからな。妬いたお前を誰かに見せる事が嫌なんだ」
「えっ……な、何言って………っ!」
 かあっと顔を赤らめた吉田が俯こうとするのを、すかさず頬にあった手で邪魔する。上を向いて固定させた吉田の顔に、佐藤はキスを降らせた。
「ぅわっ……!〜〜〜〜〜っ!」
 頬に額に、最後には口に触れた佐藤の唇の感触に、吉田はすっかり翻弄されてしまう。さっきまで艶子と並ぶ姿にやきもきしていた気持ちなんて、綺麗に吹き飛んでしまった。
「可愛い。吉田」
 キスで真っ赤になった吉田に、佐藤は存分に愛しさを込めて言う。それにますます吉田が赤くなる。
「こんな可愛い吉田、俺だけが知ってればいいのに…………」
 畜生、艶子め、と佐藤は顔には合わない悪態を胸中で突いた。考え方が似てるから、絶対吉田の事は気に入るだろうとは思っていたけど。山中は排除する人物だったが、艶子は要注意人物の筆頭だ。それと、最近吉田の可愛さに気づいた野沢の双子の弟の名前にもマーカーで線を引かなければならない。
 ほら、もう吉田の良さに気付いた人が居る。きっとこれから増える一方だ。
(俺だけの吉田だったらいいのに)
 そう思いながら、額に再び軽くキスをした。その瞬間、少し強張る吉田の小さい体躯。
「……多分、艶子がまた俺の留守とか隙を狙って誘いに来ると思うけど、」
「えっ? そうなの?」
「そうだよ」
 セリフ途中に上げた吉田の疑問の声に、佐藤は答えた。
 艶子はする。絶対する。なぜなら、逆の立場なら佐藤がそうするからだ。
「なるべく、断れ。どうしてもダメだったら、俺を同行しろ。いいな?」
「う、うん…………」
 そこまで心配するような事か? と普段の吉田であればそう思えるのだが、今はたくさんキスされて熱の上がってる状態なので、言われるままに頷いてしまった。
「特にもうすぐクリスマスだからな……それに託けて、絶対何か仕掛けてくるぞ…………」
 佐藤は確信して、すでに決定済み事項のように呟く。
 佐藤の低いその呟きに、吉田は目をぱちくりさせた。
「え? 俺、その日は誘われても断るよ」
 まあ誘われないと思うけど、とどこまでも自分を解らない吉田だ(と、佐藤は思うだろう)。
「だって佐藤と約束したのに……他の誘いなんて、受ける訳ないじゃん」
「……なら、俺と約束してなかったら、行くのか?」
 とても意地が悪いと思いながらも、佐藤は言うのを堪え無かった。
 案の定、吉田は言葉に詰まってうぅ、と呻いている。
 こんなやり方でしか、こっちに注意を向けられないんだな。
 これでは苛められてる時に助けて貰って、ありがとうも言えなかった昔も同じだ。自分の進歩の無さを思い知る。
 で、でも、と少しの間を開けてから、吉田が言う。
「クリスマスの事、佐藤が言いださなかったら、俺が言いだしてたと思うから………」
 どっちにしろ、その日は佐藤の為に取って置いてる筈だ、と吉田は言った。顔を赤くして。
「……………」
 吉田の呟きに、佐藤は少し呆けたような顔をしていた。その顔を見るのは、気恥かしさで視線を逸らしていた吉田には無理だったが。
「……そうだな」
 今一度呟いて、佐藤は改めて抱擁した。わっと吉田が軽い驚きの声を上げる。
「クリスマスは、俺と一緒に過ごすもんなv」
「う……うん」
「楽しい一日にしような、吉田」
「……うん……
 消え入りそうな声でも、吉田はしっかり頷いた。可愛い、大好きだ、と佐藤はさらに抱きしめて吉田の髪に顔を埋める。
「……まあ、楽しい一日の前にテストをクリアしなくちゃならん訳だけど」
 佐藤がぼそり、と言うと吉田がう、と短く呻いた。
「赤点なんか取ったら承知しないからな」
 もし補習なんて受けるような羽目になったら、もろにクリスマスの日に被るだろう。折角の一日を、そんなもので時間を取らせるわけにはいかない。
「って事で早速今日から勉強なv 俺の家に行くぞ」
「えっ、きょ、今日からぁ?」
 うへぇ、と吉田が情けない声を上げる。
「こういうのは早い方がいいだろ?」
「……そうだけどー…………」
「じゃ、決まりだなv」
「……………」
 黙ったという事は納得したのだろう。前回は佐藤の手ほどきのおかげでそれなりの点数の吉田だったが、それで勉強法がしっかり身についたかと言えばかなり怪しい。自力でやれば、また今までの二の舞になりそうだ。
「……じゃあ、お世話にナリマス………」
 あまり乗り気の声じゃないのは仕方ない。吉田は出来れば授業以外で勉強なんて御免だし、それが苦手な英語となれば尚更だった。苦手だからやらなくてはいけないのだけど。
「ん。任せとけって」
 微笑む佐藤の笑顔は、吉田にはとても頼もしくて。
 キスされた時みたいに、吉田は胸がドキドキとした。




<終>





クリスマス的10のお題2
「それよりも先に大事なことがある!」配布元:Abandon